今日もデンマークでの話です。
デンマークで1年間生活しましたが、その前に2度ほど北欧を旅行していましたので、カルチャーショックなどはもうないだろうと思っていても、やはり生活してみないと分からないことがあると気付かせてくれた物があります。 それはボックス・ティッシュです。 日本では、ティッシュといえばボックス・ティッシュ。家に必ずあるものの一つだと思いますが、デンマークの家庭ではまったくと言っていいほど目にしません。 コペンハーゲンで生活をはじめた頃、何気なくデンマーク人の同居人に「ティッシュはどこ?」と聞いたら、トイレット・ペーパーを渡されました。その同居人はすでに仕事から離れたお年寄りだったので、「倹約してるんだな」と勝手に思い込んで渋々使っていたのですが、その後いろいろな人の家に行くようになって、お年寄りの倹約ではないことがだんだん分かってきました。 ある日、友人に「何でボックス・ティッシュを使わないの?」と質問したところ、逆に「何でわざわざボックス・ティッシュを使いたいんだ?」と聞き返されてしまいました。 「何で用途によってティッシュの形を変える必要があるんだ?」ということです。 我々日本人はトイレを不浄と考える文化なので、トイレにあるものをそれ以外の場所で使うことに抵抗があるのか、だからこそボックス・ティッシュが生活に不可欠になったのかもしれませんが、洗面所の中に便器をおく彼らにとっては、トイレット・ペーパーもボックス・ティッシュも同じもの、何で日常生活に高くて気取ったものが必要なのか、といったところでしょうか。 はじめのころはトイレット・ペーパーを使うと、なんだか貧乏臭いという気持ちになりましたが、トイレット・ペーパーではなくてロールペーパーなんだと認識を変えて使っていると、一枚一枚決まった大きさになっているボックス・ティッシュよりも、使う分を自分で調整できるトイレット・ペーパーのほうが使いやすくなり、すぐ無くなってしまって箱はゴミになってしまうボックス・ティッシュは消費社会の象徴!というのはオーバーですが、トイレット・ペーパーを使うほうが気持ちよく思うようになりました。 当然、トイレット・ペーパーよりもボックス・ティッシュのほうが高いので、結果として倹約にもなるのですが、それはこちらからの見方で、彼らにとっては何言ってるの?って感じで、これは「必要のないものは使わない」という確信的な意思からのもので、倹約うんぬんと考えてしまった自分が、いかに先入観優先で物の本質を考えないで暮らしてきたのか、と気付かせてくれたのでした。 トイレット・ペーパー、恐るべしです。
by drycake
| 2009-01-06 21:05
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