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民家
先日、営業として一軒のお屋敷にお邪魔しました。
広い和風庭園をきれいなお宅で、住宅も平屋の日本家屋、昭和初期ごろの建築かなと思いながら引き分けの玄関戸から土間に入らせていただきましたが、間取りと室内の造作を見てびっくりしました。とても親切な方で、ご興味があったらどうぞ、と、招かれてもいないのに上がらせていただきましたが、ここって中野区だったよな...、と。

民家園や誰かの記念館とかで見れるような住宅がそのまま目の前にひろがっていました。南入りの玄関を入ると左に座敷がひろがり、建具は大阪障子、鴨居はケヤキの尺梁です(ケヤキなどは地所にあったものを伐採+製材とのこと)。お庭に面している部分はぐるっと広縁になっていて3間のヒノキ一本ものの軒桁や続き間の欄間には幾何学の組子...etc。大正9年築とのことで、その当時は玄関の土間は奥まで続きカマドがつくられ玄関の右側は馬屋と、典型的な民家の間取りだったそうです。今では土間はタイル貼りになって玄関部分のみ、カマドのあったところは床ができてダイニングキッチンに、馬屋も床を上げて納戸になっていますが、それ以外はほとんど当時のままということでした。

ただ、敷地内に計画道路があって建物にもかかるため、数年先には建て替えるとのこと。移築も考えられたそうですが4000万かかるとのことで、また、夏を旨とする日本民家のつくりようはなかなか大変で、家具中心のしつらいになってしまっている今の住み方に続き間の座敷も対応しきれないなど、結果として建て替えとなってしまうようです。
自治体に買い取ってもらって地元の郷土博物館とかに移築してと掛け合っても自治体に予算が無いとか、日本庭園もあるので、日本食の料理屋さんでもすれば最高の環境なのですが、それは少し現実離れしているかとか、お住まいの方もいろいろお考えになったらしいのですが、せいぜい解体材を古材として引き取ってもらってどこかで活かしてもらおうというのが最善と判断されたようです。

戦後は西洋化に拍車がかかり、それまでの民家や和洋を上手にくっつけた文化住宅(平屋の日本家屋に洋館がくっついた住宅)が姿を消してきました。自分の実家も昭和11年築の文化住宅でしたが今は軽量鉄骨のタイプハウスになって、この大正9年築、3年後の関東大震災のときには尺はある大黒柱が数センチ傾いた程度の被害だった頑丈なお宅も数年後には建て替えられます。ある意味救いだなと思ったのは、新しい住宅は地元の大工さんに在来でお願いするとのことなので、また何十年先も自分のような住宅好きが「うぁ~」と言えるものを建てていただけたらと思うのでした。
by drycake | 2009-02-04 23:15 | 住まいづくり全般
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